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海外最新文献サマリー
(2007/11/12/Update)

2007 VOL.9
Back Number>> vol.8(PDF 167KB)vol.7(PDF 167KB)vol.6(PDF 183KB)
vol.5(PDF 186KB)vol.4(PDF 173KB)vol.3(PDF 182KB)

プロポフォールの投与速度は、血中濃度− 効果部位濃度間の平衡に影響を及ぼす
 ベルギーのStruysらは、プロポフォールの投与速度の違いによって血中濃度−効果部位濃度間の平衡速度に差が認められるのは、平衡速度定数ke0が異なるためではないかと仮定し、その検証を行った。対象患者 61例に、プロポフォール2.5 mg/kgをボーラス投与または1分、2分または3分間かけて注入した。効果部位濃度の指標としてBIS値を用いるとともに、プロポフォールの予測血中濃度および効果部位濃度を算出し、ke0に対する注入速度の影響などについて評価した。その結果、BIS値≧90では固定モデル、BIS値<90ではシグモイドモデルが最良であり、t1/2 ke0(1/2平衡時間)は、ボーラス投与では1.2分、注入では2.2分であった。以上の結果から、プロポフォールの場合、急速注入よりもボーラス投与の方が迅速に血中濃度と効果部位濃度間の平衡が得られること、またその主な原因として、ボーラス投与後の薬物動態モデルの仕様の誤りが考察された。
(Struys MMRF, et al: Anesthesiology 2007; 107: 386-396)

術後せん妄の早期発症は、遺伝的素因による可能性が高い
 術後せん妄を早期に発症する患者が、そのような遺伝的素因を有しているかどうかは明らかにされていない。米国のLeungらは、麻酔を要する心臓手術以外の手術待機患者190例(65歳以上)を対象として、術前および術後2日間に訓練された研究助手による面接を行い、CAM(Confusion Assessment Method)を用いて、せん妄の発症を評価した。また、アポリポ蛋白の遺伝子型の血液検査を行った。その結果、術後2日以内に患者の15.3%が術後せん妄を発症し、24.2%が1コピー以上のアポリポ蛋白e4対立遺伝子を有していた。また、対立遺伝子の存在(1コピー)は、術後せん妄の早期発症のリスク増大と相関することが示された。さらに、アポリポ蛋白e4対立遺伝子を有している患者では、有していない患者に比較して、術後せん妄の早期発症リスクがより高かった(p=0.005)。以上の結果から、遺伝的素因が麻酔や手術の要因と相互作用することで、術後せん妄の早期発症の原因となっている可能性が示唆された。
(Leung JM, et al: Anesthesiology 2007; 107: 406-411)

同所性肝移植施行患者における高カリウム血症の予測因子
 高カリウム血症は、同所性肝移植(OLT)の施行患者に大きなリスクをもたらすが、その予測因子については十分に検討されていないのが現状である。米国のXiaらは、OLTを施行した成人患者1,124例を対象として、レトロスペクティブ解析を実施した。なお、血清カリウム値≧5.5 mmol/Lを高カリウム血症と定義した。その結果、高カリウム血症の発症頻度は、OLTの再灌流前で10.2%、再灌流後早期で19.1%、再灌流後晩期で7.9%であった。また、高カリウム血症の独立した予測因子として、再灌流前ではベースライン時のカリウム高値および赤血球輸血、再灌流後早期ではベースライン時または再灌流前のカリウム高値および心臓死ドナーからの臓器提供、再灌流後晩期ではベースライン時のカリウム高値、長時間の温虚血時間、長期にわたるドナーの入院期間、術中の尿量低下および静脈−静脈バイパスの使用があげられた。
(Xia VW, et al: Anesth Analg 2007; 105: 780-785)

頸部屈曲時の気管内チューブ事故を防ぐためには、聴診による挿管を避けるべき
 頸部の動きによって気管内チューブ(ETT)の位置がずれた場合、気管支内挿管や事故抜管が起きる可能性がある。韓国のYooらは、小児患者107例(2〜8歳)を(T)主気管支に挿管後、両肺から同じ大きさの音が聞こえる位置+2cm口腔側にETTを引きだす群、(U)声帯にあたる位置にマークをし、ETTをそのマークに合致するように挿入する群、(V)頸切痕にあるETTの先端を触診しながらETTを挿入する群の3群に無作為に割り付け、頸部が動いた際のETTの先端の位置(気管支分岐部を0%、声帯側を100%として相対的な位置を測定)を評価した。その結果、ニュートラルポジションでの先端の位置は、T群で21.4%、U群で46.5%、V群で43.4%であった。また、T群では、頸部屈曲後の先端位置は9.5%であり、5例に気管支内挿管が認められた。なお、その他の2群では、抜管や気管支内挿管の症例は認められなかった。以上の結果から、聴診によってETTを挿入すると、気管中央部より奥にETTが挿入されてしまうため、頸部屈曲時に気管支内挿管が起こるリスクが高くなる可能性が示唆された。
(Yoo SY, et al: Anesth Analg 2007; 105: 620-625)

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